メールによる脅迫事件で逮捕されてしまった
- 2021年11月17日
- コラム
メールによる脅迫事件で逮捕されてしまった
メールによる脅迫事件で逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
Aさんは、以前から神奈川県相模原市南区に住んでいるVさんと折り合いが悪く、Vさんのことを嫌っていました。
Aさんは、5年ほど前からVさんに対して「お前のことを殺してやるから覚悟しておけ」「お前の家族も痛い目に合わせる」などといった内容のメールを送り付けていました。
メールの内容が過激になっていったことから、Vさんが神奈川県相模原南警察署に相談し、被害届を提出。
捜査の結果、Aさんは脅迫罪の容疑で逮捕されるに至りました。
(※令和3年11月16日カナロコ配信記事を基にしたフィクションです。)
・脅迫罪
今回のAさんは、脅迫罪の容疑で逮捕されています。
刑法第222条(脅迫罪)
第1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
脅迫罪の「脅迫」とは、条文にある「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知」することを指します。
脅迫の内容としては、一般人が畏怖(恐怖)するに足りる内容であればよいとされており、例えば脅迫された被害者が特に精神的に強い人物で、脅迫されても何の恐怖も抱かなかったとしても、脅迫の内容が一般人が恐怖する程度の内容であれば脅迫罪が成立することになります。
今回の事例のAさんの場合、「殺す」「痛い目に合わせる」といった言葉を使っていることから、生命や身体に対する害を加える旨を告知したと捉えられるでしょう。
そして、その脅迫の対象としては、刑法第222条第1項で被害者本人、第2項でその親族が定められています。
今回のAさんは、Vさん自身とVさんの家族に対して害を加える内容のメールを送っていますが、これはそれぞれ刑法第222条第1項・第2項に当てはまるということになります。
脅迫の手段としては、直接口頭で脅迫する以外にも、手紙やメールなどを通じる方法でもよく、相手が脅迫を知ることができればよいとされています。
ですから、今回のAさんのメールを送るという方法でも脅迫罪は成立することになります。
・脅迫罪と刑事事件の時効
今回のAさんは、5年前からVさんに対して脅迫する内容のメールを送っていたようです。
ここで、刑事事件には「時効」と呼ばれるものが存在します。
一般に刑事事件の「時効」と呼ばれているものは、法律的には「公訴時効」と言います。
公訴時効とは、犯罪が終了した時点から犯罪ごとに定められた期間が過ぎた場合、検察官が被疑者を起訴できなくなるという制度のことを指します。
映画やドラマなどでも「時効間近」などの表現が使われることもあるため、公訴時効のことをご存知の方も多いでしょう。
公訴時効はその犯罪の刑罰の重さによって長さが決められています。
脅迫罪の法定刑は先述のように「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と決められているため、人を死亡させた犯罪以外の公訴時効について定める刑事訴訟法第250条第2項第6号に当たり、公訴時効は3年となります。
今回の事例のAさんは、5年前からVさんに対する脅迫メールを送っていたようですが、脅迫罪の公訴時効は3年ですから、3年以上前に送られた脅迫メールについては脅迫罪に問われることはなく、それ以降の脅迫メールについて脅迫罪に問われるということになるでしょう。
メールによる脅迫事件では、脅迫をしたという事実がメールという形で記録に残るため、過去にさかのぼって立件されるということも考えられます。
余罪が多くなればその分事件も複雑化してしまう可能性がありますから、まずは弁護士に相談し、見通しや手続きの流れを理解しておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、脅迫事件を含む刑事事件全般を幅広く取り扱っています。
まずはお気軽にご相談ください。