未成年に酒を提供して風営法違反事件に
- 2021年10月30日
- コラム
未成年に酒を提供して風営法違反事件に
未成年に酒を提供して風営法違反事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
Aさんは、横浜市鶴見区でカラオケバーを経営しています。
ある日、Aさんの経営するカラオケバーに、18歳のXさんYさん、17歳のZさんが連れ立って訪れました。
そして、Xさんらは、店の飲食メニューから酒を注文しました。
Aさんは、Xさんらが未成年であることは分かっていたものの、注文を断ってトラブルになってしまうのも面倒だと思い、注文通りにXさんらに酒を提供しました。
その後、カラオケバーを退店したXさんらが巡回中の神奈川県鶴見警察署の警察官に補導されたことで、Xさんらが飲酒していることが発覚。
Xさんらへの聞き取りによってAさんがXさんらに酒を提供したことが分かり、Aさんは神奈川県鶴見警察署に、風営法違反の容疑で取調べをされることになりました。
Aさんは、自分がどういった犯罪に問われているのか、どのような対応をすべきなのか分からず不安になったため、弁護士に無料相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・未成年に酒を出したら犯罪?
未成年の飲酒は「未成年者飲酒禁止法」という法律で禁止されており、さらに、未成年者であることを知りながら営業者が酒を提供することも、この未成年者飲酒禁止法で禁止されています(未成年者飲酒禁止法1条2項)。
未成年飲酒禁止法第1条
第1号 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
第2号 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
第3号 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
第4号 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
元々は大正時代に定められた法律であるため、少し読みづらいですが、大まかにいえば、尹かのようなことが定められています。
①20歳未満の者は飲酒してはいけない
②未成年者の親権を持っている者や親権者に代わって監督している者は、未成年者の飲酒を知った時は止めなければいけない
③酒類を販売・提供している業者は未成年者が飲酒するということを知って未成年者に酒を販売・提供してはいけない
④酒類を販売・提供している業者は未成年飲酒防止のために年齢確認などの措置を講じなければならない
ですから、そもそもAさんのように20歳未満の者であると知っていながら酒類を提供することは、未成年者飲酒禁止法という法律に違反する犯罪であるということになります。
しかし、今回のAさんはこの未成年者飲酒禁止法違反ではなく、風営法違反の容疑をかけられています。
なぜでしょうか。
まず、今回のAさんが経営しているカラオケバーですが、風営法の「風俗営業」に当たるようです。
一般の大手チェーンカラオケ店などは、風営法の「風俗営業」には当たりませんが、Aさんの経営しているのはカラオケバーであり、カラオケの併設されたバーであると考えられます。
風営法では、狭いバーや店内が暗いバーなどは「風俗営業」とされているため、おそらくこれに当たるとされたのでしょう。
そして、その風営法では、以下のように定められています。
風営法第22条第1項
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
第6号 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
Aさんのカラオケバーは風営法の「風俗営業」であるようですら、相手が未成年であると知りながら酒を提供した場合には、こちらの規定に違反し、風営法違反として捜査される可能性があるのです。
この未成年への酒類提供による風営法違反は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処されるか、又はこれの併科に処されます。
風営法第50条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第4号 第22条第1項第3号の規定又は同項第4号から第6号まで(これらの規定を第31条の23及び第32条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
このようにして、Aさんには風営法違反の容疑がかかったのでしょう。
刑事事件の当事者となった場合、自分にかかっている容疑がどのようなものなのか、今後の刑事手続きにどのように対応すべきなのかといった不安を抱える方も多いでしょう。
だからこそ、刑事事件の専門家である弁護士に相談してみましょう。
弁護士へ相談してアドバイスを受けることで、刑事手続きを知らないことで起こる不安を軽減することが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、初回無料法律相談を受け付けています。
未成年への酒の提供によって風営法違反となった、刑事事件について悩んでいるという方は、お気軽にご相談ください。