未成年者の強制性交事件
- 2021年2月20日
- コラム
未成年者の強制性交事件
20歳未満の者が13歳未満の者と性行為をした場合に問題となる強制性交事件と少年事件の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県鎌倉市在住のAは、神奈川県内の大学に通う19歳です。
AはSNSで知り合った12歳のVとダイレクトメッセージでやり取りをし、鎌倉市内のAの家で会うことにしました。
AはVが性的な行為に興味を抱いていることを知り、実際にやってみようと言ってVの同意を得て性行為をしました。
数カ月後、Vの保護者がAとVとのダイレクトメッセージを見て不審に思い、鎌倉市を管轄する大船警察署に被害届を提出しました。
鎌倉警察署の警察官は、Aを強制性交罪で逮捕しました。
Aの家族はVの同意があったのになぜ強姦を意味する強制性交に当たるのか、少年事件はどのように進むのか、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【強制性交罪について】
ケースでも触れましたが、強制性交(等)罪は刑法改正以前は強姦罪と呼ばれていたものです。
強制性交罪の条文は以下のとおりですが、一般的な強姦のイメージにあたる行為だけでなく、13歳未満に対して性行為や肛門性交、口腔性交をした場合、暴行や脅迫がなくても強制性交罪が成立します。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【未成年者が事件を起こした場合】
ケースのAは19歳です。
我が国では、20歳未満は少年事件としての取り扱いを受けます。
少年事件の場合も、捜査の段階では基本的に刑事事件と同様の取扱いですので、逮捕された場合には逮捕から48時間以内に検察官に送致され、24時間以内に釈放するかその後も身柄を拘束する場合には最大20日間の勾留がなされます。
在宅の場合も刑事事件と同様、基本的には在宅のまま警察官から検察官に送致されます。
しかし、成人事件の場合であれば検察官は起訴をするか否かを決め、場合によっては不起訴にすることもできますが、少年事件の場合は必ず家庭裁判所に送致されます。(全件送致主義)
家庭裁判所に送致された少年について、送致を受けた家庭裁判所の裁判官は書類を検めたうえで
①少年鑑別所にて少年の鑑別を行う
②在宅で少年の調査を行う
③検察官に逆送致をする
の何れかの判断を行います。
①の場合、法務省が管轄する少年鑑別所に入ることになります。
期間は原則28日間、身柄を拘束して行われるものです。
身柄拘束は伴いますが、懲罰目的ではなく、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識や技術に基づいた鑑別を行うことでその非行等に影響を及ぼした事情を明らかにすることを目的としています。
②の場合、少年は自宅で学校・仕事に行きながら、指定した日に少年やその保護者が家庭裁判所に赴き、調査官による調査官面談が行われます。
③の場合は、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と定められています。(少年法20条1項)
つまり、一定の重大事件を起こした少年に対しては、少年事件としての手続きで処分を下すのではなく、成人と同様に公開の法廷で裁判が行われ、成人と同様の判決が言い渡されるのです。
なお、重大事件だけでなく、捜査や調査の手続きの最中に少年の年齢が20歳を超えた場合は、同様に逆送致されます。
①、②の場合は最終的に「裁判」ではなく「審判」が開かれ、
(1)施設送致(少年院・児童自立支援施設・児童相談所など)
(2)保護観察
(3)不処分
あるいは試験観察といった処分を下します。
事件や少年の状況によっては審判を行わないということもございます。
神奈川県鎌倉市にて、20歳未満のお子さんが13歳未満の児童と性行為などをしてしまい強制性交事件で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
まずは弁護士が接見に行き、お子さんとお話をしたうえで想定される手続きについて御説明致します。