元配偶者へのストーカー
- 2020年12月8日
- その他の刑法犯事件
元配偶者へのストーカー
以前は結婚していて配偶者という関係であったが別居し、それでもつきまといをしてしまった場合の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県相模原市南区在住のAは、相模原市南区の会社に勤める会社員です。
Aは1年前までVと結婚し同居をしていましたが、Aによる家庭内暴力(DV)が原因でVは相模原市南区内の実家に帰っていました。
しかし、AはVと復縁したいと考えたため、V実家の固定電話やVの携帯電話に執拗に電話をしたほか、家の前に何時間も座り込むというつきまとい行為をしていました。
Vの家族は恐怖を感じ相模原市南区を管轄する相模原南警察署に相談をし、警察署はAに対し聴聞を行った上で禁止命令を下しました。
しかし、その後もAは繰返しの電話やV実家の訪問を辞めませんでした。
相模原市南区を管轄する相模原南警察署の警察官は、Aをストーカー規制法違反(禁止命令違反の罪)で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【ストーカー規制法について】
ストーカーというと、あまり接点のない相手に対して一方的に恋愛感情を抱いて行うというイメージがあるかもしれませんが、交際相手間での痴情のもつれやケースのような夫婦間でのトラブルなどが起因して発生する場合も少なくありません。
我が国ではストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)により、相手に対するつきまとい等及びストーカー行為を禁止しています。
つきまとい等とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の勘定を充足する目的で」被害者本人や家族に対して
・つきまといや相手の居場所への押し掛け、周囲へのうろつき
・監視したり監視しているように思わせる行為
・面会や交際等の要求
・粗野あるいは乱暴な言動
・無言電話や拒まれた後の連続した電話、メール等
・汚物や動物の死体等を送付
・名誉を害するようなことを言ったり、それを匂わせる言動
・交際当時に撮影したひわいな動画や画像を送りつける
といった行為を指します。
また、このつきまとい等を繰返し行うことをストーカー行為として定めています。
これらの行為は当然に禁止されています。
まず、被害の相談を受けた警察官は、ストーカー規制法以外の罪に当たる場合にはその罪での捜査を行います。
ストーカー規制法以外の罪には、例えば名誉毀損罪や住居侵入罪、脅迫・強要罪などの罪が考えられます。
ストーカー規制法に違反する場合については、ストーカー行為に当たるようなつきまとい等を反復継続している被疑者に対しては、捜査し刑事処罰を科すことが出来ます(ストーカー行為規制法18条:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
つきまとい等の行為に対して、捜査機関は以下のような措置を講じることが出来ます。
・警告
ストーカー規制法4条1項では、警察本部がつきまとい等に対しての警告を求める申し出を受けた際、実際につきまとい等が行われていて今後もそれが反復される恐れがある場合には、それ以上反復してつきまとい等を行わないよう「警告」が出来ると定められています。
・禁止命令等
各都道府県の公安委員会は、ストーカー規制法3条に規定されている行為があった場合につきまとい等を反復してする恐れがあると認められる場合には、被害者側の申し出や職権により、①さらに反復してつきまとい等を行ってはならないこと、②さらに反復してつきまとい等が行われる事を防止するために必要な事項、を命じることが出来ます。(ストーカー規制法5条1項各号)
これは禁止命令等と呼ばれます。
禁止命令等をするためには、原則として先に被疑者側(加害者側)の意見を聞く必要があります。(ストーカー規制法5条2項)
ただし、緊急の必要性がある場合には、先に禁止命令等をしたうえで、その後15日以内に聴聞を行うということもできます。
禁止命令等の効力は原則1年ですが、被害者側からの申出や職権により、1年ごとに更新することも可能です。
神奈川県相模原市南区にて、御家族がストーカー規制法違反などの刑事事件を起こしてしまい逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
まずは弁護士が御家族のもとへ接見に伺います(有料)。