ワンクリック詐欺で保釈請求
- 2021年2月17日
- コラム
ワンクリック詐欺で保釈請求
いわゆるワンクリック詐欺事件で逮捕・勾留された場合の罪と保釈請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県小田原市在住のAは、小田原市内の会社に勤める会社員です。
Aはインターネット上にホームページを作成し、わいせつ動画を閲覧できるサイトに見せかけ、わいせつ動画をクリックした場合にはわいせつ動画が流れず、「サイトへの登録ありがとうございます。3日以内に登録料金20万円を振込んでください。」と書かれたページに飛ぶというものにしました。
そしてメールアドレスを併記し、登録料金が支払えないとの問い合わせメールを送った者に対しては「支払いができなければブラックリストに登録致します。」などの返信をしていました。
被害者のひとりである小田原市在住のVは、小田原市を管轄する小田原警察署の警察官に相談をした上で被害届を提出し、捜査の結果Aによる犯行であるとの証拠を掴んだ小田原警察署の警察官は、令状を受けてAを逮捕しました。
Aが逮捕されたという知らせを受けたAの家族は、ワンクリック詐欺で問題となる罪について刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【ワンクリック詐欺について】
ワンクリック詐欺とは、インターネットやメール、ショートメールなどを利用して行なわれるもので、URLを貼り付けて送信し、受信した者がURLをクリックした場合に「入会の手続きが完了した。○○日までに○○円を支払わなければ訴訟を起こす」などと表示させ、お金を振込ませるといった手口で行われる特殊詐欺の一種です。
ワンクリック詐欺をした場合に問題となる罪には、以下のようなものがあります。
・詐欺罪
URLを開いた人に対して、契約をしてしまったのだと誤解をさせ、お金を振込ませるという行為は刑法246条の定める詐欺罪に当たる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
・恐喝罪
「ブラックリストに登録されたくなければ金を払え」「金を払わなかったら家まで行く」等といった脅迫的な文章を表示する、あるいは送り付けた場合には、恐喝罪が適用される可能性があります。
刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
その他、特定商取引法に違反することなども考えられます。
【保釈請求について】
逮捕されてから48時間以内に検察庁に送致され、検察官が必要と認めた場合には勾留請求を行います。
次に、勾留請求を受けた裁判所は、逮捕から72時間以内に被疑者に対して勾留質問を行った上で、必要と認めた場合には10日間の勾留を行います。
勾留は1度に限り延長できるため、最大で20日間、身柄を拘束されることになります。
検察官はこの勾留の期間に警察を指揮して証拠を集め、起訴する準備をします。
そして、勾留満期までに起訴するか処分保留で釈放するかの判断を下す必要があります。
では、起訴された場合どうなるかというと、起訴後釈放することはほとんどなく、引続き身柄は拘束されることになります。(起訴後勾留は原則2カ月ですが、その後も1カ月毎に際限なく更新することができます。)
勾留されている被告人の身柄を解放するためには、保釈の手続きを行う必要があります。
保釈は、裁判官の職権で行うことも出来ますが、基本的に被告人側から保釈請求を行う場合が一般的です。
保釈請求をできる対象者は、被告人自身と弁護人の他に法定代理人、保佐人、配偶者、又は直系の親族若しくは兄弟姉妹です。
保釈請求のためには被告人の逃亡の恐れ(監督体制)や証拠隠滅の恐れがないことを主張していくことが必要になるため、法律の専門家である弁護士に依頼することが望ましいと考えられます。
とりわけ、Aの場合はワンクリック詐欺という不特定多数の者に対するサイバー犯罪を起こしていることから、証拠の収集に勾留が必要と判断される可能性があるため、保釈請求の時期や内容には刑事事件の経験や知識が必要不可欠です。
神奈川県小田原市にて、御家族がワンクリック詐欺をしてしまい逮捕され、保釈をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。