酒に酔ってトラブル
- 2020年6月24日
- コラム
酒に酔ってトラブル
酒に酔って発生したトラブルで問題となる罪や弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県小田原市在住のAさんは、小田原市内にあるV店(飲食店)の常連客です。
AさんはV店で酒を飲むと暴れることがあり、これまでもV店のグラスや皿を割ったり、他の客とトラブルになることもありました。
その度にV店の店員から注意を受けていたAさんですが、事件当日も酒を飲んだ後に隣の客に暴行を加えけがをさせ、V店のグラス割る等の騒ぎを起こしました。
V店の責任者はAを注意したのですが改善しなかったため、小田原市内を管轄する小田原警察署に被害申告をしました。
後日Aさんは小田原警察署から連絡が来て、器物損壊と威力業務妨害の疑いで小田原警察署で取調べを受けることになりました。
(上記事件はフィクションです)
【お店でのトラブルで考えられる罪】
①器物損壊罪
Aさんは、酒に酔って暴れたことでV店のグラスや皿を割るなどVの物を壊していることから、器物損壊罪に当たる可能性があります。
器物損壊罪は親告罪ですので、被害者側からの刑事告訴がなければ起訴されません。
よって器物損壊罪で捜査を受けている場合、告訴を回避したり告訴を取り下げてもらうための対応が必要です。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
②威力業務妨害罪
Aさんは酒に酔って暴れていることから、V店の業務を妨害したという点で威力業務妨害罪の適用も考えられます。
威力業務妨害罪のいう「威力」とは、被害者の自由意思を抑圧するに足るものであれば良いとされています。
そのため、実際に飲食店であるV店の営業時間中に暴れる行為は当然これに当たるため、威力に当たるという点について疑いはありません。
また、業務を妨害したというためには業務の外形的な混乱・支障が現実に生じることまでは必要とされていないため、Aさんの騒ぎによって業務の外形的な混乱・支障が度々発生していた事実があれば、業務を妨害したといえるでしょう。
なお、そのような混乱・支障が生じていない場合であっても、その危険があることが認められてしまった場合には威力業務妨害罪に当たる可能性があります。
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
※刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
③暴行罪
さらにAさんは他の客への暴行も行っていますので、暴行罪に問われる可能性もあります。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
被害が届けられたきっかけになった本件では相手にけがをさせていますので傷害罪にも問われることが考えられます。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
④軽犯罪法違反
Aさんの行為は、軽犯罪法にも違反する恐れがあります。
問題となる条文は以下のとおりです。
軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は,これを勾留又は科料に処する。
同条5号 公共の会堂,劇場,飲食店,ダンスホールその他公共の娯楽場において,入場者に対して,又は汽車,電車,乗合自動車,船舶,飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
以上で見てきたとおり、Aさんが起こしたトラブルはいくつもの罪に当たる可能性があります。
Aさんの事件の刑事弁護活動を委任(依頼)された弁護士は、V店及び暴行・傷害により怪我を負った被害者の方に謝罪をした上で、治療費や修理費その他の慰謝料といった賠償することを盛り込んだ示談を締結する等の活動が考えられます。
被害者の方の心証を悪くしないためにも、事件を起こした場合にはすぐに刑事事件を専門とする弁護士に依頼することをお勧めします。
酒によるトラブルで器物損壊罪、威力業務妨害罪、暴行罪・傷害罪や軽犯罪法違反の被疑者となってしまった方、あるいは神奈川県小田原警察署で取調べを受けることになってしまった方がおられましたら、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部お早めにご相談ください。
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