遮断機のバーを破壊して少年鑑別所送致
- 2020年11月13日
- その他の刑法犯事件
遮断機のバーを破壊して少年鑑別所送致
踏切にある遮断機のバーを故意に破壊した場合の罪と、少年鑑別所送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、県内の高校に通う高校生です。
Aはこれまでも喫煙や飲酒、夜間徘徊などで幾度か補導されることがありました。
ある日、Aは家族と喧嘩をして家を飛び出してしまい、深夜に座間市内を徘徊していました。
そして、イライラを解消するために何かに視界に入った踏切にある遮断機のバーを無理に押さえつけるなどして、次々に破壊しました。
事件後に近隣住民から通報を受けて臨場した座間市内を管轄する座間警察署の警察官は、捜査の結果Aを往来危険の罪で逮捕しました。
Aの家族は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に接見を依頼した際、弁護士から「少年鑑別所に送致されるかもしれない」と聞き、観護措置について質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【踏切の破壊は往来危険罪に】
ケースのAは、鉄道の線路と歩行者や自動車等が交差する場所である踏切にある遮断機のバーを破壊しています。
御案内のとおり、遮断機のバーは鉄道が踏切を通過する際に歩行者や自動車等が線路内に侵入しないように遮るものです。
これを破壊する行為は、鉄道の往来に危険を生じさせる恐れのある状態にしたと評価され、往来危険の罪に当たる可能性があります。
往来危険罪の条文は以下のとおりです。
刑法125条1項 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
【少年鑑別所とは?】
少年鑑別所という言葉を聞いて、少年院と同様のイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。
しかし、少年鑑別所の目的は、少年院とは大きく異なります。
まず、事件を起こしてしまった20歳未満の少年について、捜査段階では基本的に成人と同じく取調べを受けます。
そして、在宅事件であれば捜査が終わったのち、身柄事件であれば勾留満期日(勾留から最大20日間経ったのち)に、各都道府県にある家庭裁判所に送致されることとなります。
少年に対しては、家庭裁判所に送致された後、調査官による少年や保護者の調査などが行われ、最終的に審判をするか否かを判断し、審判を開く場合には不処分又は何かしらの処分を言い渡します。
処分には、保護観察処分や各都道府県知事・児童相談所長送致のほか、矯正教育や社会復帰支援を行う少年院への送致などがあります。
上記が一通りの流れになりますが、家庭裁判所に送致された少年について、裁判官が必要と判断した場合には観護措置決定が下されます。
観護措置は、家庭裁判所が調査官による調査や審判を行うため、少年の心身の鑑別を行うための措置とされています。
観護措置には在宅観護と収容観護の2種類がありますが、実際には在宅観護を行うケースはほとんどなく、観護措置という言葉はもっぱら収容観護を指すことになります。
この収容観護で収容される先が、少年鑑別所となるのです。
少年鑑別所では、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて鑑別等が行われます。
具体的には、集団方式の心理検査や鑑別面談、精神医学的検査・診察(一部必要ケースのみ行われる)のほか、起床から就寝迄の行動を観察される行動鑑別などが行われています。
鑑別の期間は、基本的に4週間以内とされていて、それまでに少年審判が行われることが一般的であり、審判の数日前までに鑑別結果通知書という書類に結果を取りまとめられ、調査官が作成する少年調査記録に綴られ審判での処分言い渡しのための判断材料になります。
実際の事件で、少年鑑別所へ送致する収容観護のメリットは少なくありません。
一方で、収容観護は身柄拘束を伴うため、その期間の行動が制限され、学校や社会と切り離された生活を送ることになるため、それによる不利益が生じることも事実です。
そのため、付添人弁護士は収容観護決定に対して不服の場合には家庭裁判所の職権での取消しを求めたり異議申し立てをしたりする必要があります。
一方で、収容観護やむなしの場合には少年を安心させたり少年に問題が生じていないかの確認をしたりするため、頻繁に面会に行くなどの対応が必要と考えられます。
神奈川県座間市にて、お子さんが踏切にある遮断機のバーを壊すなどして少年鑑別所に送致される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。