侵入盗事件で逮捕されてしまったら
- 2021年10月16日
- コラム
侵入盗事件で逮捕されてしまったら
侵入盗事件で逮捕されてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、過去に従業員として勤務していた神奈川県小田原市にある飲食店(V店)のドアガラスをドライバーで割って侵入し、店舗内に保管されていた現金約30万円を盗み取りました。
被害届を受けた神奈川県小田原警察署の警察官は、捜査の末、Aさんを建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪の容疑で逮捕しました。
神奈川県小田原警察署の警察官による建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪の容疑での取調べに対し、Aさんは「金がなかったのでやった」と建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪の容疑を認めています。
建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、神奈川県の刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【建造物侵入罪とは】
「正当な理由がないのに、」「建造物」「に侵入し」「た者」には、建造物侵入罪が成立します(刑法130条)。
建造物侵入罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
建造物侵入罪における「建造物」とは、屋根があり壁や柱で支えられて土地に定着した工作物のうち、住居・邸宅以外のものをいうところ、刑事事件例におけるV店は争いなく建造物侵入罪における「建造物」に該当すると考えられます。
また、建造物侵入罪における「侵入」とは、建造物の管理権者の意思に反する立入りを指します。
刑事事件例において、V店の管理権者はドアガラスをドライバーで割って中の物を盗むために立ち入ることを許す意思があったとは考えられません。
当然、Aさんが元従業員であったとしても、そういった立入りは許可されないものであるでしょう。
よって、Aさんの立入りはV店の管理権者の意思に反する立入りとして建造物侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪とは】
「他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗罪における「窃取」とは、財物の事実上の支配者(占有者)の意思に反して、その事実上の支配(占有)を侵害し、自己又は第三者の事実上の支配(占有)に移すことをいいます。
刑事事件例において、AさんはV店が保管していた=V店の支配下にあった現金約30万円を勝手に自分のものとしています。
よって、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当すると考えられ、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
【建造物損壊罪とは】
「他人の建造物」「を損壊した者」には、建造物損壊罪が成立します(刑法260条)。
建造物損壊罪の法律に定められた刑(法定刑)は、5年以下の懲役です。
建造物損壊罪における「建造物」とは、壁又は柱で支えられた屋根を持つ工作物であって、土地に定着し、少なくとも人がその内部に出入りできるものをいいます。
そして建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪における「建造物」に該当する否かは、建造物と建造物に取り付けられた物との接合の程度や機能上の重要性等を総合考慮して決定されると考えられています。
刑事事件例におけるV店のガラスドアは、外壁と接続し、外界との遮断・防犯・防風・防音など機能上重要な役割を果たしているといえるため、建造物損壊罪における「建造物」に該当すると考えられます。
また、建造物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する行為を意味すると考えられているところ、刑事事件例におけるドライバーで割る行為が物の効用を害する行為であることは明らかです。
よって、Aさんの行為は建造物損壊罪における「損壊」に該当すると考えられ、Aさんには建造物損壊罪が成立すると考えられます。
【建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪と示談】
刑事事件例では、AさんがV店のドアガラスを破壊してV店に侵入し現金約30万円を窃取しています。
弁護士の弁護活動としては、V店のドアガラスの修理代金や現金約30万円を含めた示談金を支払う約束をする示談の締結を目指して、V店との示談交渉を開始することが一例として考えられます。
示談交渉の結果次第では、被害を回復していることや被害者であるV店の被害感情のおさまりなどを主張することができ、寛大な処分をするよう求めることができると考えられます。
また、建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪で起訴された場合には、裁判所に示談締結を一般情状として斟酌してもらえる可能性があります。
さらに、示談交渉の進み具合やそのはやさによっては、Aさんのように逮捕されていたり勾留されていたりして身体拘束されている被疑者の釈放を求める活動にも有効となります。
早めに弁護士に相談・依頼し、示談交渉などの弁護活動を開始してもらうことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入罪・窃盗罪・建造物損壊罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
神奈川県小田原市の建造物侵入・窃盗・建造物損壊事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。