傷害事件で準抗告認容により釈放
- 2023年3月1日
- コラム
傷害事件で準抗告認容により釈放
傷害事件で逮捕され勾留が認められたという事件で、準抗告を申し立てたところ認容され釈放されたというケースを想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市戸塚区在住のAさんは、横浜市戸塚区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、スマートフォンが故障してしまい横浜市戸塚区内の携帯電話ショップに行った際、予約なしの場合は待ち時間がかかると説明を受け、それに腹を立てて感染症拡大防止のために設置されていた飛沫防止のためのプラスチック製のアクリル板を店員Vさんに投げつけました。
アクリル板はVさんの顔に当たり、病院に行くほどではない程度の擦り傷を負いました。
Vさんの通報を受けて臨場した横浜市戸塚区を管轄する戸塚警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で現行犯逮捕しました。
その後の手続きにより、Aさんは10日間の勾留が認められました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【傷害事件について】
今回の事例では、Aさんが飛沫防止用のアクリル板をVさんに投げつけたという事例です。
実際にVさんに接触していることを踏まえ、Aさんに対しては暴行罪や傷害罪が成立します。
条文は以下のとおりです。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
本件では、Vさんは擦り傷を負ったことを想定しています。
例え擦り傷程度だったとしても、実際に被害者の生理的機能を害したことに変わりないため、傷害罪が適用されます。
【勾留に対する準抗告で釈放】
被疑者が逮捕された場合、逮捕から72時間以内に釈放するか、非公開の勾留裁判で勾留裁判を担当する裁判官により勾留が認められるかの2択です。
勾留が認められた場合、原則として10日間、その後1度延長が認められるので最大で20日間、身柄拘束されることになります。
また、被疑者は20日の間に起訴されるか釈放されることになりますが、起訴された場合、その後も勾留は続きます。
まず前提として、弁護士としては勾留の裁判が行われる前に、検察官や裁判官に対して勾留が不要であることを主張していく必要があります。
とはいえ、逮捕から勾留が認められるまでの手続きは逮捕の翌日や翌々日頃までに行われるのが一般的で、それまでに弁護人の選任が間に合わないという方も多いです。
(なお、一定の要件を満たした場合に国が選任する国選弁護人は、勾留が決まった後に初めて選任されます。また、当番弁護士は勾留前であっても一度限り接見することができますが、「弁護人」ではないため釈放を求める弁護活動はできません。)
勾留が認められた場合には最大20日間の勾留が避けられないのかというと、必ずしもそうではありません。
勾留が認められた場合、
・勾留裁判に対する不服申し立てとして準抗告申立
・勾留裁判後に変更した事情を主張し釈放を目指す勾留取消請求
という方法で釈放を求める弁護活動があります。
勾留取消請求については、勾留裁判後の事情等の主張(例えば被害者との間で示談締結ができて被害届取下げられた、等)ではなく、勾留の判断に対して「逃亡や証拠隠滅の恐れ等がないため勾留を認めた判断を破棄するべきだ」という主張を行います。
準抗告の判断は、勾留の判断を下した裁判官とは別の裁判官3名で行われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまで数多くの刑事事件・少年事件に携わっていて、準抗告申立ての経験も多々あります。
一度裁判官が勾留を認めている以上、別の裁判官3名が判断するとはいえ勾留の判断を覆すことは容易ではありません。
しかし、これまでの弁護活動の経験を踏まえ事件に応じた的確な主張を行っていくことで、準抗告認容に向けた主張を行っていきます。
神奈川県横浜市戸塚区にて、ご家族が傷害事件で逮捕・勾留されてしまい、準抗告などによる釈放を求める弁護活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
まずは弁護士が初回接見サービスを行い、勾留されている方から事件の内容や主張をしっかりと伺った上で、釈放の見通しなどについてご説明致します。