傷害事件で逮捕されたら
- 2021年8月14日
- コラム
傷害事件で逮捕されたら
傷害事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
事例
学生Aは、横浜市中区を通る大学の帰り道、友人の学生Vと口論になり、Vを突き飛ばしてしまった。
Aは、Vに怪我をさせるつもりはなかったが、たまたま現場が階段付近であったため、Vは階段から転落し、全治6ヶ月の重傷を負ってしまった。
後日、Vが神奈川県山手警察署に相談したことで、捜査が開始された。
Aは神奈川県山手警察署に傷害罪の容疑で逮捕されることとなり、逮捕の知らせを受けたAの父は、すぐに神奈川県山手警察署に面会に行ったがAに会うことはできなかった。
Aの父は、AがVに怪我をさせるつもりがなかったということを伝え聞いたため、Aの力になれないかと神奈川県内の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにした。
(フィクションです。)
・怪我をさせるつもりがなくても傷害罪に?
まず、今回のケースように、暴行を加えて相手が怪我をしてしまった場合に問われる罪名が、暴行罪なのか、それとも傷害罪なのかという問題について説明します。
以下に参考のための条文を載せます。
刑法208条 暴行罪
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 傷害罪
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法208条の暴行罪にある「傷害するに至らなかったとき」という規定から、逆にいえば、暴行をして相手に傷害するに至った場合(たとえば今回のように怪我をさせてしまった場合)には、暴行罪は成立しないことがわかり、代わりに傷害罪が成立することが考えられます。
つまり、単純に暴行をしただけの結果(怪我を相手が負わなかった結果)にとどまる場合は暴行罪が成立し、単に暴行を加えただけでなく、怪我を負わせるというより重い結果となった場合は傷害罪が成立するというように、傷害罪は暴行罪の延長線上にあることがわかります。
こう考えると、今回のように相手に怪我をさせようと思っていなくても、暴行を加えた結果として怪我をさせてしまうと、傷害罪が成立することになります。
なお、昭和25年11月9日の最高裁判所の判決でも、同様の結論が出されています。
難しい表現を用いますと、このように犯行時に予想していたよりも重い結果が発生したときに、その重い結果についても罪を問う犯罪を「結果的加重犯」といいます。
ですから、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯ということになります。
・逮捕された人と面会できない?
まず、Aの現況としては、傷害罪の容疑で神奈川県山手警察署に逮捕されている状態です。
結論から述べますと、今回の事例の状況下では、Aの父がAと面会することは原則として難しいと考えられます。
これは、このような場合の接見については、刑事訴訟法に逮捕されている被疑者と一般の方の面会についての規定がないことに起因します。
よって、原則として、Aの勾留決定後、あるいはAが釈放されない限りは、家族に会うことが難しい状態が続きます。
また、注意が必要なのは、勾留決定後においても面会が難しい場合があるということです。
勾留決定後に接見等禁止処分がつけば、逮捕中と同じく一般の方の面会は制限されることになります。
こうした面会の事情は、犯罪の軽重によって変わるものではありません。
つまり、たとえ今回の事例のような喧嘩の延長で起こった傷害事件であっても、報道されるような殺人事件であっても変わらないのです。
では、逮捕されている期間誰もAに会えなくなるかと言うと、そうではありません。
一般の方の面会が制限されている状況であっても、弁護士ならばAと接見することが可能となります。
弁護士には、被疑者や被告人と意思疎通をはかるための「接見交通権」が保障されているからです(刑事訴訟法39条1項)。
ですから、今回のAの父の状況のように、逮捕されている期間中にAの意思を知りたい場合やAの手助けをすぐにでもしたいという場合には、弁護士に接見を依頼することがおすすめです。
早急に弁護士に面会に行ってもらうことができれば、Aの父は弁護士を通じてAに自身からの伝言を伝えてもらうことが可能になり、さらには、Aからも弁護士を通じて自分の気持ちや状況を父に伝えてもらうことができます。
加えて、逮捕後に行われるであろう取調べに対するアドバイスも弁護士からAに伝えることができるため、刑事手続きに臨むにあたって必要なことをAに教えることもできます。
また、その後も引き続き弁護士に依頼して弁護活動をしてもらうことで、その後の示談や不起訴獲得に向けた弁護活動をしてもらえます。
このように弁護士の存在は、被疑者、被告人、そのご家族にとって心強い味方となります。
・最後に
刑事事件の当事者となり逮捕された場合は、逮捕された本人はもちろん、そのご家族も精神的な消耗をすることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部支部は、刑事事件を専門として扱い経験豊富な弁護士が多数の事例解決に取り組んできました。
当事務所は24時間体制でご相談者・ご依頼者からのお問い合わせに対応しておりますので、早急な対応が可能です。
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