傷害少年事件で児童自立支援施設送致
- 2021年4月28日
- コラム
傷害少年事件で児童自立支援施設送致
児童自立支援施設について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
横浜市泉区在住のAさん(17歳少年)は、非行少年グループの一員として、少年グループ同士の喧嘩事件に加担して、相手の少年らに怪我を負わせたとして、神奈川県泉警察署に逮捕された。
Aさんは、過去にも、傷害事件で家庭裁判所の少年審判を受けて、保護観察処分となった前歴があり、今回の傷害事件では、さらに重い処分を受けるおそれがある状況であった。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に依頼して、泉警察署でのAさんとの弁護士接見(面会)に派遣するとともに、今後の少年審判に向けた弁護方針を、弁護士とともに検討することにした。
(フィクションです)
~傷害少年事件の弁護活動とは~
20歳以上の成人が、暴行傷害事件を起こした場合には、相手に怪我が無ければ「暴行罪」が成立し、相手が怪我をしていれば「傷害罪」が成立します。
刑法の暴行罪の刑罰の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の刑罰の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
他方で、20歳未満の少年が、暴行傷害事件を起こした場合には、刑事処罰を受けることは無く、代わりに「家庭裁判所の少年審判」という手続を受けて、少年の更生のために保護処分が決定されることになります。
少年審判の保護処分として、①少年院送致、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③保護観察処分、④不処分、などの判断がなされる可能性があります。
傷害少年事件が起きた場合には、少年の味方の立場となる「付添人」という形で、弁護士を選任することができます。
少年審判に弁護士が関与して、少年の更生に向けた適切な家庭裁判所の調査がなされるように、かつ、少年審判の保護処分が適切となるように、弁護士の側から家庭裁判所等への働きかけを行うことが重要となります。
~児童自立支援施設とは~
少年事件が起こると、原則として、家庭裁判所の少年審判が開かれることになります。
少年審判の結果として、①少年院送致、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③保護観察処分、④不処分、といった形で保護処分の判断がなされます。
このうち、児童自立支援施設とは、児童福祉法にその設置規定がある施設で、都道府県ごとに1ヵ所(都道府県立)と、少数の国立・私立・市立の施設が設置されており、現在は全国で58ヵ所あります。
家庭裁判所での少年審判の結果、保護処分として児童自立支援施設に送致される場合の他にも、児童相談所の措置によって児童自立支援施設に入所する場合があり、後者の方が多くの割合を占めます。
・児童福祉法 44条
「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」
児童自立支援施設は、職員である実夫婦とその家族が小舎に住み込み、家庭的な生活の中で入所児童に一貫性・継続性のある支援を行うという伝統的な小舎夫婦制や、職員が交替で支援に当たる小舎交代制、といった支援形態で展開している施設です。
少年事件の弁護を依頼された弁護士は、少年が社会内で更生できるように少年本人やご家族と協力しながら環境を整えたりすることで、より少年本人の更生に適切な処分の獲得を目指して活動していくことになります。
具体的には、再び非行を行う危険性がない、少年を自立させるための周囲の環境を整えた上で、それを弁護士の側から主張することで、不処分の獲得や、保護観察処分や児童自立支援施設送致といった保護処分の獲得に向けて、尽力することになるでしょう。
まずは、傷害少年事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件・少年事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
横浜市泉区の傷害少年事件でお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士にご相談ください。