初犯の窃盗で裁判に?
- 2021年2月16日
- コラム
初犯の窃盗で裁判に?
前科や前歴がない、いわゆる初犯での窃盗での問題と、裁判になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県平塚市在住のAは、平塚市内の会社に勤める会社員です。
Aは趣味のため出費がかさんでいたことから、その支払いに苦慮していました。
そこで、給与以外のかたちで収入を得ようと考え、平塚市内のドラッグストアや書店に行き、出来るだけ高額で且つバッグに入るサイズの商品を窃盗し、その商品をインターネットオークションサイトやフリーマーケットアプリなどで販売価格より若干安値で販売していました。
逮捕当日もAは窃盗をしていましたが、以前からAをマークしていた店員は警察に連絡し、臨場した平塚市内を管轄する平塚警察署の私服警察官が窃盗を現認したことから、Aは窃盗罪で現行犯逮捕されました。
Aは、これまでいわゆる前科・前歴がない初犯なので裁判にはならないだろうと考えていましたが、接見に来た弁護士は裁判になる可能性について説明しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【窃盗について】
ケースのAはいわゆる窃盗を繰り返していました。
窃盗は窃盗罪に当たる可能性があります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗をしてしまう方の中には軽い気持ちでやってしまう方もおられます。
しかし、窃盗罪は懲役刑も用意されている罪です。
そして、何より被害者にとっては重大な損失であることから被害感情は厳しいものである場合が多く、とりわけチェーン店の場合には示談はもとより被害弁償(買取り)にも応じないという場合が少なくありません。
更に、ケースの場合には窃盗を繰返し行っていて、その目的は転売です。
よって、この事案は悪質と言えることから、たとえ初犯だったとしても公判請求される可能性があります。
但し、捜査機関は被疑者が「いつ・どの店で・どの商品を・何点窃取したか」を立証していく必要があります。
そのため、繰返し窃盗したからといって全てを立件されるわけではありません。
【初犯の窃盗事件で裁判に?】
刑事裁判と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
凶悪な犯罪をした人や前科がある人が刑事事件を起こした場合にのみ、裁判が行われるとお思いの方がおられるかと思います。
結論から申し上げますと、確かに、裁判になる事件は凶悪事件や被害弁償が出来ていない事件、前科がある方の事件が多いことは間違いありません。
では、ケースについて見ると、Aはいわゆる前科前歴はない、いわゆる初犯という扱いです。
そして窃盗罪であれば軽微だから裁判にはならないだろうと思うかもしれませんが、それは正しい認識とは言えません。
窃盗罪は、上記で示したとおり「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定められています。
つまり、最悪の場合10年間懲役刑を受ける可能性がある、決して軽い罪ではありません。
また、Aは転売目的での窃盗を繰り返しています。
転売目的での窃盗は、自己使用目的に比べて悪質ですので、厳しい評価を受けることになります。
加えて、小売業界(とりわけチェーンで大型展開している会社)については、窃盗事件では示談に応じない(あるいは刑事処分を受けた後でなければ示談に応じない)というスタンスの場合も少なくないため、たとえ被害金額が少額で弁償が可能な場合であっても、被害者側が弁償に応じないという場合は少なくありません。
神奈川県平塚市にて、御家族が初犯ではあるものの転売目的での窃盗事件を繰り返していて、刑事裁判になる可能性があるという方がおられましたら、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。