職務質問から自首にはならない?
- 2021年3月7日
- コラム
職務質問から自首にはならない?
職務質問から自首にはならないのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【ケース】
横浜市中区在住のAは、詐欺事件の受け子としての役割を果たすために横浜市中区の駅に来ていました。
しかし、犯罪にかかわるという緊張感から、Aは挙動不審な様子でいました。
その様子をみた神奈川県加賀町警察署の警察官が、Aさんに職務質問をしたところ、Aが詐欺事件の受け子として金を受け取ろうとしていたということを自白しました。
そこでAは神奈川県加賀町警察署に任意同行された上で詐欺未遂罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、家族の依頼でやってきた弁護士に「詐欺行為をする前に自分で自白したことが自首になって罪が軽くならないか」と相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【職務質問から自白は自首になる?】
一般のイメージとして、「自首をすれば罪が軽くなる」というイメージが強いのではないでしょうか。
刑事ドラマなどでも、「自首して罪を軽くする」というセリフなどが出てくることもあります。
しかし、まずはそもそも自首が成立する=必ず罪が軽くなるということではないことに注意が必要です。
刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
刑法に定められている自首は「その刑を減軽することができる」となっているため、あくまで刑の減軽は任意的なものであることがわかります。
ですから、自首が成立したからといって必ずしも刑罰が軽くなるというわけではないのです。
しかし、自首が成立したということによって、刑の減軽を主張するために有利な事情になることに違いはありません。
では、ケースのAのように職務質問をされた時に自白したというような場合でも、自首は成立するのでしょうか。
自首の条文を見てみると、「捜査機関に発覚する前に」「自首」することが自首成立の要件となっています。
これは、犯罪の事実が捜査機関に発覚していない場合、もしくは犯罪の事実は捜査機関に発覚していてもその犯人が誰かは捜査機関に発覚していない場合(「捜査機関に発覚する前に」)に、自発的に自己の犯罪事実を申告して訴追を求めること(「自首」)を指しています。
この自首成立のための条件を考えると、職務質問で警察官から声をかけられ、その末に自白したような場合には、刑法上の「自首」が成立する可能性は低いと考えられます。
一般のイメージでは、自白することと自首が成立することが混ざりがちかもしれませんが、単に自白しただけでは自首とはならないのです。
自首のようによく一般に知られている言葉であっても、その成立条件や言葉の意味まで法律に決められている通り知られているとは限りません。
だからこそ、刑事事件で疑問に思うこと・不安に思うことがある場合には、早期に専門家である弁護士に相談し、解消しておくことが大切です。
正しくない意味や見通しだと思い込んだり、手続きや権利についてわからないまま放置してしまったりという状況で刑事事件の手続きが進んでから手遅れになってしまったということは避けなければなりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、逮捕されている方にも在宅捜査されている方にも刑事事件専門の弁護士がご相談にのります。
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