SNSアプリとストーカー規制法違反事件
- 2021年9月25日
- コラム
SNSアプリとストーカー規制法違反事件
SNSアプリとストーカー規制法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
〜事例〜
Aさんは、神奈川県藤沢市で開催された音楽イベントに参加した際、イベントスタッフとして会場内で働いていた女性Vさんに一目惚れしました。
Aさんは、音楽イベントを開催されていた会社を調べると、イベント当日にVさんが付けていた社員証の情報をもとにSNSアプリでVさんの利用しているアカウントを見つけ出すと、そのSNSアプリを通じてVさんに連続してメッセージを送りました。
Vさんは、知り合いでもないAさんからの度重なるメッセージに不安を感じ、もうメッセージを送ってこないでほしい旨を何回かメッセージで送りましたが、Aさんからのメッセージは止まず、1日に10件以上のメッセージが届くことが数か月続くようになりました。
そこでVさんは神奈川県藤沢北警察署に相談。
神奈川県藤沢北警察署は捜査を開始市、Aさんはストーカー規制法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
Aさんは、「直接付きまとったわけでもないのにストーカーになるのか」と疑問に思い、家族の依頼を受けて接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・直接のつきまといでなくてもストーカーに
ストーカーというと、被害者の後をつけてつきまとうという、いわゆる「ストーキング」をするイメージがあるかもしれません。
しかし、今回のAさんのように、スマートフォン等のSNSアプリでのメッセージのやり取りのみで、実際に直接加害者と被害者が接触していなくてもストーカーとなる可能性があります。
ストーカー行為は、ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)によって規制されています。
ストーカー規制法第18条
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
そして、ストーカー規制法の中では、規制対象である「ストーカー行為」について、次のように定めています。
ストーカー規制法第2条第3項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
つまり、「つきまとい等」を同じ人に対してその平穏を害したり不安を感じさせたりするような方法で繰り返し行った場合にストーカー規制法での「ストーカー行為」と認められることになります。
「つきまとい等」という言葉からは、最初に触れたような、被害者の後をついていくストーキングのような直接的・物理的な行為をする印象を受けがちですが、ストーカー規制法上の「つきまとい等」には以下のようなものが含まれることに注意が必要です。
ストーカー規制法第2条第1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
ストーカー規制法第2条第2項
前項第5号の「電子メールの送信等」とは、次の各号のいずれかに掲げる行為(電話をかけること及びファクシミリ装置を用いて送信することを除く。)をいう。
2号 前号に掲げるもののほか、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること。
少々長くて回りくどく、分かりづらいようにも感じるかもしれませんが、簡単に言えば、これは特定の個人が第三者に情報発信でき、かつその情報を見た第三者が情報発信した本人にメッセージを送れるものでメッセージを送ることを指しています。
ですから、スマートフォン等で利用できるSNSアプリを通じてメッセージを送ることは、まさにこの条文に該当することになるのです。
現在は様々なSNSアプリが普及しており、誰でも情報発信ができますし、誰でもその情報発信者に対してコンタクトを取ることができます。
それに際して、直接的・物理的に会わなくとも、Aさんのようにストーカー規制法違反となってしまうことも考えられるのです。
ストーカー規制法違反事件では、被害者への接触のおそれ等から、逮捕・勾留されて捜査される可能性も高いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、逮捕・勾留の伴うストーカー規制法違反事件にも迅速に対応しています。
まずはフリーダイヤル0120-631-881へお問い合わせください。