逮捕を伴う刑事事件の刑事手続
- 2021年6月26日
- コラム
逮捕を伴う刑事事件の刑事手続
逮捕を伴う刑事事件の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
~ケース~
神奈川県川崎市中原区に住むAさんは、かねてから仲の悪い隣人Vさんと口論になり、家から持ち出してきたバットでVさんの後頭部をかなり強く殴打しました。
Vは救急搬送されましたが、頭部に重い外傷を負い、重体の模様です。
Aさんは、目撃者の通報を受けて駆け付けた神奈川県中原警察署の警察官により、傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんの逮捕を知らされたAさんの家族は、今後Aさんがどうなってしまうのか非常に不安です。
(フィクションです)
~傷害罪~
傷害罪は、文字通り、他人を傷害する犯罪です(刑法第204条)。
殴る、蹴るなどの方法により他人に怪我を負わせる行為が傷害罪の典型例といえるでしょう。
当然、バットで頭部を殴打し、外傷を負わせる行為も傷害罪を構成する可能性が極めて高いと考えられます。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
~刑事事件の手続が分からない~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる刑事事件の法律相談において、「今後、自身や家族はどうなるのか」という点に強い関心を持つ方は非常に多いです。
これからどうなるのかわからないという状況は、より不安を強めてしまうためでしょう。
法律相談において、「今後、この方は必ず〇〇となる」といった助言はできませんが、刑事手続の流れは刑事訴訟法などの法律により決められています。
そのため、刑事事件の手続については、刑事事件に詳しい弁護士であれば詳しくかつ分かりやすく説明することができます。
これから刑事事件の手続でどのようなことが起こるのかということを前もって知り、準備をしておくことで、不安を和らげることにもつながりますし、有利な事件解決にも役立つでしょう。
~Aさんはこれからどうなるのか?~
今回の事例のAさんは、傷害事件の被疑者として逮捕されています。
Aさんの事例を例にとって、これからAさんがたどるであろう刑事事件の手続を確認してみましょう。
(警察署への引致、取調べ)
逮捕後は、警察署に引致され、取調べを受けます。
今回のAさんについては、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に検察へ送致されます。
検察は警察とは全く別の捜査機関です。
(検察への送致後)
検察では、検察官が取調べを行います。
検察官は、Aさんの送致を受けたときから24時間以内かつ逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放し、在宅捜査に移行するかを判断します。
(勾留請求がなされた場合)
勾留請求は、検察官が裁判官に対してする請求で、逮捕から続いて長期の身体拘束(勾留)をしたいという請求をすることを指します。
裁判官は勾留の可否を審査し、勾留の要件を満たしていると判断すれば、勾留決定を出します。
勾留の要件を満たしていないと判断すれば、釈放され、在宅捜査に移行します。
勾留決定が出されると、10日間の身体拘束を受けることになります。
また、やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間、勾留が延長されます。
(勾留決定後)
勾留された後も捜査は続きます。
取調べを受ける日もありますし、犯行状況の再現などに立ち会う日もあるかもしれません。
(起訴・不起訴の判断)
逮捕・勾留を伴う刑事事件の場合、検察官は勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするかを判断します。
起訴されれば刑事裁判を受けることになりますし、不起訴となれば裁判を受ける必要はなく前科がつくこともありません。
AさんはVさんに大怪我を負わせているようです。
傷害事件の場合は通常、負傷の部位や治療期間によりが決められますが、今回のAさんの事例では、Vさんは重傷を負っているようですから、被害が重大であるとして起訴される可能性も十分考えられるでしょう。
なお、比較的軽い傷害結果で済んだ場合には、不起訴処分となったり、起訴される場合であっても略式手続により罰金を言い渡される可能性があります。
略式手続とは、書面のみで裁判を行う方法であり、公開の法廷に立つ必要はありません。
(裁判)
公判請求がなされた場合は、公開の法廷に立って裁判を受けることになります。
裁判当日の対応ももちろん重要ですが、検察官の出してくる証拠を検討したり、被告人側からも被告人に有利な証拠を出したり、当日スムーズにやり取りをしたりするために、裁判の前から入念河準備が必要となります。
~まずは早期に弁護士の接見を受ける~
ここまでで、逮捕・勾留を伴う刑事事件の手続の概略を見てきましたが、こうした刑事手続はAさんの意向に関わらず進行します。
例えば、Aさんが「起訴するのを何カ月待ってほしい」と思っていたとしても、その都合だけで手続の進行をずらせるものではないのです。
ですから、弁護士に相談・依頼するのが遅れた結果、非常に不利な状況に陥ってしまうことも考えられます。
できるだけ早期に弁護士の接見を受け、弁護活動を依頼することにより、有利な事件解決を実現できる可能性が高まります。
まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、今後の刑事手続における対策を立てていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
分かりづらい刑事手続についても、弁護士が丁寧にお話し、被疑者・被告人ご本人はもちろん、ご家族の疑問・不安の解消のサポートをいたします。