チケットの転売
- 2020年9月14日
- コラム
チケットの転売
いわゆるチケットの転売で問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県厚木市在住のAは、厚木市内の会社に勤める会社員です。
Aは小遣い稼ぎのため、様々な大人気アイドルグループなどのファンクラブに加入していて、チケットを購入してそれを高値で転売することで収益を得ていました。
そして、昨今の法改正後もチケットを転売していたところ、厚木市を管轄する厚木警察署の警察官が自宅に来て、在宅で捜査を受けることになりました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【チケットの転売で問題となる罪】
チケットの高額転売を巡っては、これまでコンサートやライブで問題となっていました。
これに対して、これまでも各地方自治体によっては条例で転売を禁止していましたが、その罰則規定はバラバラだったうえ、そもそも条例が設けられていない自治体もありました。
そのため、日本国内で行われる音楽やスポーツのチケットについて、高額転売(不正転売)を統一して取り締まるべく、平成31年12月14日に議員立法である「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(以下、チケット不正転売禁止法)が公布され、令和元年6月14日に施行されました。
チケット不正転売禁止法の定める「特定興行入場券の不正転売」とは、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償転売であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。」と定められています。(同法2条4項)
そして、この法律は「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」(同3条)「何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。」(同4条)と規定しています。
つまり、転売禁止が明記され、そのための措置が講じられているにもかかわらず、チケットの正規の価格より高い値段で転売する、あるいは転売するためにチケットを入手するという行為を禁止しているのです。
この条文に反してチケットの転売や転売のためにチケットを入手した場合、「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法9条)
【転売チケット利用のために別の事件に発展することも】
チケット不正転売禁止法は、基本的に特定のチケットを売りさばく側を処罰対象として制定されています。
そのため、購入した側がすぐに罪に問われるわけではありません。
しかし、上記のとおりチケットに氏名を明記する方式を採用したために、そのチェックをかいくぐろうと別の事件を起こしてしまう可能性があります。
例えば、身分証明書の偽造や偽造の身分証明書の使用が挙げられます。
しかし、それらの偽造は私文書や公文書の偽造罪や、偽造私文書・公文書の行使罪に当たり、チケット転売以上に重い罪に問われる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、チケット不正転売禁止法のような新しい法律についても対応しています。
神奈川県厚木市にて、チケット不正転売禁止法などに違反する行為をして在宅で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談頂けます。