賭博で刑事裁判に?
- 2020年10月5日
- その他の刑法犯事件
賭博で刑事裁判に?
賭博(とばく)をしてしまい刑事裁判になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県三浦郡葉山町在住のAは、三浦郡葉山町内の会社に勤める会社員です。
実は、三浦郡葉山町内にあるパチンコ店では、営業時間終了後に違法なレートで行われているパチンコが行われていて、Aも同僚と一緒にしばしそこを訪れていました。
当日もその違法なパチンコを楽しんでいたAですが、三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署の警察官が店に入ってきて、元締めらと一緒に賭博罪で逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【賭博事件について】
何かしらの結果を予想してお金を賭し、結果に応じて分配を行ういわゆる賭博は、刑法上禁止されています。
賭博に関する罪は、その役割や常習性により、各々以下のような罪に当たります。
・(単純)賭博罪
まずは、賭博罪(単純賭博罪)について、条文を御確認ください。
刑法185条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。
賭博罪のいう賭博とは、「偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うことをいう。」とされています。
偶然の事情とは、当事者において予見できないことなどを指します。
チョボイチやルーレットなどはこれに当たることが容易に想像できるかと思いますが、将棋や囲碁、麻雀などは戦略が重要になってくるためこれには当たらないのではないかと思う方がおられるかもしれません。
しかし、偶然性の大小に左右されず、少しでも偶然性の影響下に立つ場合には、これが認められるとされていて、判例上、前述のゲームの結果に対して財物を賭けた場合には賭博罪にあたるとされています。
もっとも、条文では賭けの対象が「一時の娯楽に供する物」であれば、形式的には賭博に当たる行為であっても処罰されないこととされています。
一時の娯楽に供する物とは、「費消の即時性」と「価格の僅少性」の両者を考慮されていると考えられます。
そのため、茶菓子や食事などがこれに当たり、これらを賭けても処罰されません。
しかし、金銭については、性質上一時の娯楽に供する物とは言えません。
もっとも、一時の娯楽で消費される程度の少額であれば成立しないとみられます。
・常習賭博罪
常習賭博罪の条文は以下のとおりです。
刑法186条1項 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
常習賭博罪とは、上記の賭博を常習的に行った場合に成立します。
常習とは、「反復して賭博行為をする習癖のある者」を意味します。
実際に常習と言えるか否かは、賭博の種類やレート、回数などを総合的に評価されることになります。
・賭博場開帳等図利罪
少々難しい言葉ですが、賭博場開帳図利(とり)罪とは、要するに自分が主催者となって、自身の支配の下で賭博をする場所を開設することを指します。
賭博場開帳等図利罪の条文は以下のとおりです。
刑法186条2項 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
これは、賭博での収益の一部を受け取っていない場合、あるいは実際に賭博をしていない場合でも成立します。
なお、上記の内容を見て、宝くじや競馬・競輪・競艇などは賭博に当たらないのかという疑問をお持ちの方もおられるかと思います。
しかし、それらは全て公営ギャンブルと呼ばれるものであり、各々の特別法を設けています。
つまり、宝くじをはじめとする公営ギャンブルは賭博に当たるものの、特別法でそれを合法化しているということです。
【賭博罪での刑事裁判】
法務省が毎年発行している犯罪白書に依ると、平成30年の賭博・富くじでの検挙人員は602名で、不起訴総数は332名、起訴総数は264名です。
この起訴総数のうち、公判請求されたのは135名、略式命令請求されたのは129名となっています。
つまり、起訴されたうち半数の方は略式命令に適さないと判断されて(若しくは被疑者自身が略式手続を望まず略受けと呼ばれる手続きを行わなかったことにより)公判請求(起訴)され、刑事裁判になったということです。
神奈川県三浦郡葉山町にて、御家族が賭博に関する罪で逮捕された、あるいは在宅で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。