盗品を譲受けて犯罪に
- 2020年8月26日
- コラム
盗品を譲受けて犯罪に
盗品であることを知りながら貰った、あるいは購入したという場合の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市旭区在住のXは、横浜市旭区にある飲食店でアルバイトをしています。
しかし、昨今の情勢からアルバイトを解雇されてしまい、生活苦に陥っていました。
そこで、Xは横浜市旭区内の家電量販店にて、小さめの家電や香水など複数点を万引きしました。
そしてその万引きした商品(盗品)について、香水などについては恋人であるA1にプレゼントし、それ以外については友人A2に販売価格の70%程度の金額で売りました。
その後A2は、その盗品をインターネットオークションやフリーマーケットアプリで転売しています。
被害に遭った横浜市旭区の家電量販店は、在庫の数が合わないとして横浜市旭区を管轄する旭警察署に被害届を提出しました。
旭警察署員の捜査の結果、Xによる犯行であることが分かり、警察官はXを窃盗罪で逮捕しました。
その後の取調べで、Xが盗品をA1に無償で、A2に有償で渡していることが分かったため、警察官らはA1に対して盗品無償譲受け罪で、A2に対して盗品有償譲受け罪で、それぞれ捜査を続けました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【盗品等譲受け罪について】
ケースの登場人物(X・A1・A2)について、それぞれの問題点を検討していきます。
まずXについて、これは商業施設でのいわゆる万引きですので、窃盗罪が適用されることになります。
では、A1とA2についてはどうでしょう。
これは、Xから盗品をA1は無償で、A2は有償で譲受けていることから、それぞれ盗品等無償譲受け罪と盗品等有償譲受け罪が検討されます。
①盗品等無償譲受け罪について
A1の場合、無償(タダ)で盗品を受け取っています。
この場合、盗品等無償譲受け罪が検討されます。
盗品等無償譲受け罪の条文は以下のとおりです。
刑法256条1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
盗品等無償譲受け罪の客体(対象)は、窃盗・強盗・横領・詐欺・恐喝に当たる罪を犯して得た物です。
ケースの場合は窃盗罪での盗品が問題となっているため、この対象に当たります。
ただし、盗品等無償譲受け罪は故意犯ですから、A1が譲り受けた際にその物が盗品等であるということを知っていた場合でなければ適用されません。
実際に立件する場合には、譲受けた時点で盗品である認識があったか否かが重要となります。
②盗品等有償譲受け罪について
A2の場合、有償で盗品を譲受けています。
この場合、盗品等有償譲受け罪が検討されます。
盗品等有償譲受け罪の条文は以下のとおりです。
刑法256条2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。
基本的に盗品等有償譲受け罪は無償譲受けの場合と同様ですが、有償譲受け罪の場合は刑罰が重く設定されています。
また、盗品等無償譲受け罪同様、盗品等有償譲受け罪でも盗品等であることの認識が必要です。
【盗品等譲受け事件で弁護士に相談】
有償・無償に関わらず、盗品等譲受け罪に当たる事件を起こしてしまった場合、捜査対象になる可能性があります。
盗品等譲受け罪に当たる行為をしてしまい、取調べを受ける予定があるというかたは、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
事務所にて、無料で御相談を受けていただくことができます。
※要予約:0120-631-881