特殊詐欺事件で接見禁止
- 2021年4月30日
- コラム
特殊詐欺事件で接見禁止
特殊詐欺事件と接見禁止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県厚木市在住のAは、厚木市内の飲食店でアルバイトをして生計を立てていました。
しかし、昨今の情勢からアルバイト先が閉店してしまい、収入が途絶えてしまいました。
そこでAは金策に走っていたところ、SNSで「日給10万円で誰でもできる」と書かれた投稿を目撃しました。
Aは興味を持ち投稿元のアカウントにダイレクトメッセージを送り、応募しました。
その業務内容というのが、指定された家に行って銀行関係者を名乗り、キャッシュカードが無断利用されているからキャッシュカードを使わないようにする必要があると説明し、封筒にキャッシュカードを入れさせ、「このキャッシュカードは使えないから封をして絶対に開けずに後日来訪する警察官に渡してほしい」と嘘をつき、隙を見てキャッシュカードが入った封筒を別の封筒とすり替えることでキャッシュカードを持ち去る、というものでした。
また、持ち去ったキャッシュカードについては、指定された場所に郵送するよう指示され、それに従いました。
後日、Aの自宅に厚木市内を管轄する神奈川県厚木警察署の警察官がやってきて、特殊詐欺に携わったとして逮捕されました。
Aが逮捕されたと聞いたAの家族は神奈川県厚木警察署に行ったところ、家族であっても面会はできないと説明を受けました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【特殊詐欺事件について】
特殊詐欺事件で検挙される場合、どの役割を担ったかによりその罪名が異なります。
ケースのAについて見ると、指示役の指示に従って被害者宅に行っていることから、受け子と呼ばれる役割の一種です。
(ほかに、電話を架けて被害者に指示を出す「架け子」、受け取ったキャッシュカードを用いてATМなどで金を引き出す「出し子」などの役割があります。)
受け子は、例えば警察官や金融機関の関係者を装い現金やキャッシュカードを受け取る場合が一般的です。
この手口に関しては「詐欺罪」が適用されます。
しかし、Aはキャッシュカードを封筒に入れさせ、その封筒を被害者の隙を見てすり替えるという形で盗み取っています。
この手口の場合には「窃盗罪」が適用されます。
両者は、被害者の物を盗るという意味では同じですが、詐欺罪は相手を騙して被害者が加害者に被害品を交付することで成立します。
他方、窃盗罪は相手の意思に反して被害品を受けとります。
ケースの場合、被害者はキャッシュカードを封筒に入れただけであってAに交付したわけではないので、窃盗罪が適用されるというのです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【接見禁止決定とは】
特殊詐欺事件の場合、ケースのように指示役がいて、その指示に従って事件を起こすという構造が一般的です。
そして受け子や出し子と呼ばれる役割の人は、防犯カメラの解析や騙されたフリ作戦により検挙される可能性が少なくありません。
しかし架け子や指示役は直接的な仕事はしないため、検挙されにくい傾向にあります。
よって捜査機関は受け子や出し子を逮捕した場合、架け子やその指示役についても同時に捜査する必要があることから、逮捕し勾留を請求する場合には併せて接見禁止の請求を行うと考えられます。
裁判所が勾留と併せて接見禁止の決定を行った場合、被疑者は本来であればできる一般人との面会ができなくなります。
一般人には御家族の方も含まれるため、御家族であっても面会ができないということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの特殊詐欺事件に携わってきました。
接見禁止決定が付いている場合、被疑者が会えるのは捜査機関(及び同じ留置施設にいる別事件の被疑者)と弁護士だけです。
まずは弁護士が逮捕・勾留されている被疑者のもとへ接見に行き、事件の内容や接見禁止決定の有無を確認した上で、家族だけでも面会ができるよう裁判官の職権を促す申し立てが認められかどうかどうかの可能性などを説明致します。
神奈川県厚木市にて、御家族が特殊詐欺事件に関わり勾留され、接見禁止決定が付いた場合には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
※初回接見サービスは有料です。