嘘の被害届で虚偽申告罪に?
- 2020年7月31日
- コラム
嘘の被害届で虚偽申告罪に?
実際には存在しなかった事件での被害届を提出して嘘の申告をした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
※内容をご覧いただければ分かるかと思いますが、あくまで当ブログは虚偽申告罪についての解説をしているものです。実際に被害に遭われた方は、被害届を提出してください。
【ケース】
神奈川県三浦郡葉山町在住のAは、三浦郡葉山町にある会社の経営者です。
Aは閑静な住宅街に住んでいるのですが、最近になって自宅のすぐ近所にVらの家族が住み始めるようになりました。
Vの子どもは小学生で、大声で遊ぶなどしていて、その声がAにとってストレスになってきました。
そこでAは、自宅の前に防犯カメラを設置して普段仕事帰りのVが自宅前を通りがかる時刻を割り出し、その直前に自分の車に硬貨で傷をつけた上で自宅に戻り、Vが通った直後にカメラの映像を止めました。
そして、「自分が車から降りた時点で傷はついていなかったが、その直後に傷をつけられていた。自分が車から降りてから傷を発見するまでに通りがかったのはVだけであり、犯人はVに違いない」として、三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署に器物損壊罪での被害届を提出しました。
しかし、捜査の結果Vでの犯行ではなくAの自作自演であることが分かったため、Aは虚偽申告罪で取調べを受けることになりました。
取調べの最後に、Aは捜査官から「書類送検するから、検察庁から連絡が来たら対応してください。」との説明を受け、刑事事件専門の弁護士に虚偽申告罪で書類送検された場合について無料相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【虚偽申告罪とは?】
警察等の捜査機関が刑事事件の捜査を行う場合、まずは捜査開始のきっかけが必要です。(捜査の端緒)
例えば、警察官が事件を現認した場合や、通報を受けて臨場した場合などが考えられるでしょう。
その他に、被害届や告訴状を受理した場合があります。
警察署は、被害者やその代理人などの一定の地位がある方から被害届や告訴状が提出された場合、これを受理しなければなりません。(犯罪捜査規範61条1項、同63条1項)
しかし、捜査機関は被害届を受理した時点で被疑者が本当に被疑者なのか、被害者が本当に被害者なのか、捜査をしなければ分からない場合がほとんどです。
では、本当は被害を受けていないにも拘らず被害者として被害届を提出した場合にはどうなるのでしょう。
この場合、虚偽申告罪に当たる可能性があります。
虚偽申告罪の条文は以下のとおりです。
刑法172条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
ケースのAはVの子どもの声にストレスを感じていて、Vが処罰されればいいと思い実際には被害者ではないにも拘らず自作自演で被害者を装い、被害届を提出しています。
この行為は、虚偽申告罪に当たる可能性があります。
ちなみに、ケースの場合は被害届を受理されていますが、実務では、被害届を出したからと言って直ぐに受理されない場合もあります。
その場合でも、捜査機関がその被害届を閲覧できる状態にした時点で虚偽申告罪は適用されるとされています。
なお、虚偽申告罪は故意でなければ成立しないため、例えばXが犯人だと思い込んでいたが、捜査の結果被疑者はYだった、などという場合には虚偽申告罪には当たりません。
※器物損壊罪は親告罪ですので、検察官は被害届だけでは被疑者を起訴することは出来ません。
【虚偽申告罪で弁護士に無料相談】
虚偽申告罪には罰金がないため、刑事事件化した場合には検察官の判断次第で起訴されることもあります。
起訴された場合は公開の裁判所で裁判が行われますし、争いのない事件であれば何らかの刑罰が科されて前科がつくことになるため、不起訴を目指すことがあるでしょう。
刑事事件は、事案毎に弁護活動が異なります。
そのため、虚偽申告罪の嫌疑をかけられている時点で、早急に刑事事件専門の弁護士に無料相談することをお勧めします。
神奈川県三浦郡葉山町にて、虚偽申告罪で書類送検される可能性がある方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
事務所に御来所頂き、無料で御相談に対応致します。