刑事事件・少年事件専門
釈放してほしい
釈放とは、逮捕・勾留により、留置施設に身柄を拘束されている被疑者を解放することをいいます。
逮捕されると、普通は警察署の留置場に留置されます。逮捕の後、検察官の勾留請求が認められると、逮捕の期間と合わせて最大で23日間、身柄を拘束されることになります。
留置の期間は外部との接触は制限されるため、勤務先や学校に行くことができません。身柄拘束が長期にわたると、事件のことが周囲に知られたり、会社に解雇されたり、退学にされたり、といったことになりかねません。
そこで、弁護士は、逮捕された方が一刻も早く釈放され、日常生活を送れるように弁護活動を行います。
勾留のタイミングと弁護活動
逮捕後、検察官に送致される前の釈放
警察は、犯罪の捜査を遂げた場合、極めて軽微な事案を除いて検察官に事件を送致しなければなりません。(事案が極めて軽微で、送検されない場合を微罪処分といいます。)
このとき、逮捕せずに送致する場合が、いわゆる書類送検というものです。
これに対して、被疑者(マスコミ用語でいうところの「容疑者」のことです)を逮捕した場合には、逮捕後48時間以内にその身柄を検察官のもとへ送致しなければなりません。
被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、被疑者が事件の証拠を隠滅するおそれはないか、逃亡するおそれはないか、といった点から、捜査のために被疑者を勾留して身柄の拘束を続ける必要があるかを検討します。検察は、その必要があると判断した場合、裁判所に勾留を請求します。
ですので、逮捕から検察官に事件送致が行われるまでの間では、その後に勾留の手続きがされないように、弁護人と接見して防御活動の準備を行うことが大切です。
検察官送致後、勾留請求前の釈放
逮捕されて事件が検察官に送致された場合、検察官は、身柄の受領後24時間以内に留置が必要か否かを判断し、留置を必要としない場合には直ちに被疑者を釈放しなければなりません。
反対に、留置が必要と判断する場合には、勾留の請求をするか直ちに起訴しなければなりません。勾留をせずに直ちに控訴を提起することは、実務上ほとんどありません。
勾留は、被疑者が住居不定であることや罪証隠滅の恐れがあること、逃亡のおそれがあることを理由としてなされます。そこで、弁護士は、検察官に対して、これらの事由がないことを、意見書の提出・面談といった方法で主張し、説得することで、検察官が勾留を請求しないように働きかけます。
勾留請求後、勾留決定前の釈放
検察官が勾留請求をした場合、勾留をするかどうかの決定は、裁判官が行います。
そこで、弁護士は、裁判官に対して、被疑者から聞き取った事情や収集した証拠資料とともに書面などをもって、勾留の理由や必要性がないことを主張します。
裁判官との面会や意見書の提出を通じて、弁護士が説得することにより、裁判官が勾留請求を却下すれば、被疑者は釈放されることとなります。
釈放後、たとえ捜査が続くとしても、拘置所で身体拘束されている状態とそうでない場合とでは、今後の弁護活動の準備のし易さが変わってきます。何より一刻も早く日常生活に戻れるという点で大きく異なります。
勾留決定後、裁判官への不服申し立て(準抗告)による釈放
裁判官から勾留決定が出された場合でも、これに対して不服を申し立てることが可能です。
裁判官が行った勾留決定が違法であることを主張して、取消しを求める不服の申立てを準抗告といいます。準抗告をした場合、裁判官は、複数人で合議して、勾留決定が適法かどうか改めて判断することになります。
ただ、一度は裁判官のした決定を覆すことを要求する手続きですから、認められる確率は低いのが実際のところです。(もっとも、近年、弁護士会で積極的に準抗告をする活動をしている地域では、準抗告が認められる可能性が高くなってきています。)
勾留決定後、勾留解消請求による釈放
勾留決定後に釈放されるための方法には、勾留に対する準抗告のほかに、勾留の取消請求というものもあります。
勾留に対する準抗告が、そもそも裁判官が勾留を認めたことがおかしい、という主張であるのに対し、勾留の取消請求は、勾留決定の後の事情の変化により勾留の必要性がなくなった場合に認められます。(例えば、勾留決定後に、新しく身元引受人が現れた・被害者との間に示談が成立したといった事情が考えられます。)こうした場合には、弁護側の申し立てにより、勾留の取消しがなされる可能性があります。
釈放されるメリット
- 72時間以内に釈放されれば会社・学校に事件を知られる可能性が低くなります。
- 起訴された場合でも、保釈が認められれば、早期に身柄解放されて日常生活に戻れます。
- 身柄解放によりストレスや不安からも解放されます。
- 釈放されることにより、今後の事件解決へ向けた準備ができます。
釈放のために弁護士にできること
- 勾留請求を阻止します。被害者と示談成立に動きます。
- 保釈請求をおこないます。
- 勾留取消・勾留執行停止を求めます。
- 裁判官へ不服申立て(準広告)をおこないます。
- 勾留解消請求をおこないます。
釈放のために早期に弁護士に相談する重要性
逮捕・勾留された場合には、弁護士に依頼することで早期の釈放、状況に応じた適切な弁護活動が可能になります。
例えば、勾留を避け、又は勾留から解放されるためには、勾留の理由となる事由が、存在しないことを検察官や裁判官に納得してもらわなければなりません。ただ単に、証拠隠滅の恐れはないのだと主張するよりも、客観的な資料による裏付けがあったほうが説得的であることは間違いありません。
そのような資料を作成・収集するためには、できる限り時間があったほうがいいですし、被疑者から事件について十分に話を聞き、精査する必要があります。
そういった意味でも、早期に弁護士に相談していただくことが重要となるのです。
刑事事件では、上記のように手続きの段階ごとに身柄解放のチャンスがあります。逆に、事件を引き受けるのが遅くなればなるほど、身柄解放のためにとれる手段は減ってしまうのです。
身柄解放が非常に困難な事件もありますが、そういった事件の種類の説明や見通しなども含めて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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横浜支部 支部長 弁護士
國武 優