覚せい剤でのコントロール・デリバリー②
- 2020年7月10日
- コラム
覚せい剤でのコントロール・デリバリー②
覚せい剤を輸入した場合に問題となる罪と、その捜査法のひとつであるコントロール・デリバリー(コントロールド・デリバリー)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県平塚市在住のAは、平塚市内で自営業をしています。
Aがある日覚せい剤を海外から輸入しようと手続きをしました。
しかし、郵便物を受け取ったところ、死角にいた捜査官が現れ麻薬特例法により逮捕されました。
逮捕されたAの家族は、コントロール・デリバリーがどのような捜査手法なのか、覚せい剤を輸入した場合にはどのような罪に当たるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪詳細は昨日のブログをご参照ください。ケースは全てフィクションです。≫
【覚せい剤を輸入する行為】
ご案内のとおり、覚せい剤は一時的な快楽をもたらす場合がある一方、依存性が高く、濫用することで自傷他害の恐れがある極めて危険な薬物です。
我が国では覚せい剤の所持・使用・輸入・輸出・製造などを禁止しています。
覚せい剤による問題でどのような罪に当たるのかについては、何をしたのかによって異なります。
ケースのような覚せい剤の輸入の場合、覚せい剤取締法違反として1年以上(20年以下)の有期懲役に処される、あるいは関税法に違反して、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処されます。
【コントロール・デリバリーについて】
薬物事案での捜査手法の一つに、コントロール・デリバリー(コントロールド・デリバリー)というものがあります。
コントロール・デリバリーの流れとしては、税関などで薬物と疑われる物を発見した職員が捜査機関に通報することから始まります。
捜査機関は中身を検査すると同時に全て出して別の物(合法であり白い粉末状の物)をすり替えます。
その後、郵送会社と連携をして、郵便物を受け取った時点で逮捕する、という手法です。
ここで問題となるのは、あくまでAが受け取った物というのは、合法の白い粉であって覚せい剤ではありません。
本来であれば、合法の物を受け取ったからといって違法になるわけではありません。
ここで問題となるのは、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(通称:麻薬特例法)が問題となります。
麻薬特例法では、実際の薬物を受け取っていなくても、違法行為をしていると考え乍ら「薬物として」物を持っていたら、その物が本当の薬物であってもなくても処罰の対象になるのです。
関係する条文は以下のとおりです。
麻薬特例法2条1項 この法律において「規制薬物」とは、麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬及び向精神薬、大麻取締法に規定する大麻、あへん法に規定するあへん及びけしがら並びに覚醒剤取締法に規定する覚醒剤をいう。
同条2項5号 覚醒剤取締法第四十一条、第四十一条の二又は第四十一条の十一の罪
麻薬特例法8条1項 薬物犯罪(規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【薬物犯罪で検挙された場合刑事事件の弁護士へ】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
覚せい剤を輸入するなどの薬物事件により、ご家族が逮捕された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
刑事事件専門の弁護士が、今後の見通しやコントロール・デリバリー等の捜査手法について、ご説明を致します。